もくじ
緑ヶ丘公園とキツネ
緑ヶ丘公園にはエゾリスなどの多くの野生動物が生息しており、中型の哺乳類であるキタキツネもそのひとつです。
キタキツネはエゾヤチネズミなどのネズミ類をはじめ、マメコガネなどの昆虫やヤマグワなどの果実を食べることで、特定の生きものが増えすぎるのを防いだり、植物の種が遠くへ移動するのに役立っていたりします。緑ヶ丘公園をはじめ北海道の生態系を形づくる重要なメンバーの1つです。
エキノコックスとキツネ
エキノコックスは多包条虫(たほうじょうちゅう)と呼ばれる寄生虫の一種です。もともと日本にいた生きものではなく、北方諸島から日本へ移入されたキツネにくっついてきたと考えられています。
成虫(おとな):キツネの小腸にくっついて、卵を生みます。
虫卵(卵):成虫に感染したキツネの糞に含まれています。ヒトの口に入ると、エキノコックス症という病気の原因になります。
幼虫(こども):エゾヤチネズミなどのネズミの体に入った虫卵から生まれ、ネズミの中で大きくなります。キツネが幼虫入りのネズミを食べると幼虫はキツネに移動し、キツネの中で成虫になります。(画像は北海道 保健福祉部 作成)
緑ヶ丘公園でのエキノコックス対策
緑ヶ丘公園では指定管理者(株式会社 造景)が、2020年12月から「駆虫薬入りベイト」を公園内に撒いています。
ベイトは魚粉を固めたエサで、中にエキノコックス用の駆虫薬が入っています。駆虫薬はキツネを殺すことなくエキノコックス成虫を体の外に出す薬で、駆虫薬を食べたキツネからはエキノコックスの卵が入った糞が出なくなります。これまで北海道の多くの町で、エキノコックス対策としてキツネが捕獲されてきましたが、駆虫薬入りベイトはキツネを殺すことなく、ヒトがエキノコックス症にかかるリスクを低くすることができる方法なのです。
ただし、エキノコックス成虫が体の中からいなくなったキツネが、あらたにエキノコックス幼虫の入ったネズミ類を食べると、ふたたびキツネの体の中にエキノコックス成虫がくっつきます。体の中に入ったエキノコックス幼虫が成虫になって卵を生むようになるまでは1ヶ月ほどかかるので、1ヶ月経つごとにキツネにベイトを食べさせて、体からエキノコックス成虫を追い出すことが大切です。例えるなら、時間が経つと汚れてしまうものを毎月1回洗うようなものです。
このため緑ヶ丘公園では毎月、指定管理者が公園内にベイトを撒いて、緑ヶ丘公園にやってきたキツネの体の中からエキノコックス成虫を追い出す取り組みをしています。
よくある質問(Q&A)
Q. 緑ヶ丘公園など、十勝にいるキツネはすべてエキノコックスを持っているのですか?
A. いいえ。十勝のキツネのうち、エキノコックスを宿しているものは全体の3~4割だと考えられています。
Q. 緑ヶ丘公園の水遊び場は、エキノコックス症にかかるリスクが高いのですか?
A. いいえ。緑ヶ丘公園全体にベイトを散布して、公園におとずれたキツネがほぼもれなくベイトを食べる機会があるようにしてあります。したがって、緑ヶ丘公園全体のエキノコックス症感染リスクは限りなくゼロに近くなっていると考えております(今後、実際にキツネの糞を検査して効果を検証します)。ですので、緑ヶ丘公園の中の特定の場所で、感染リスクが高いということはありません。
Q. 犬の散歩で緑ヶ丘公園をよく利用するのですが、犬がベイトを食べてしまったらどうなりますか?
A.ベイトは、飼い犬が届きづらい位置に撒いていますので、リードを使って散歩をし、歩く時に大きく園路から外れなければ、ベイトを口にすることはありません。また、仮にベイトを食べてしまったとしても、犬の体に害はありません。ベイトに含まれている駆虫薬は犬や猫の寄生虫駆除にも用いられる薬剤であり、少量誤食しても健康に害はありませんが、異常がある場合は動物病院のご相談ください。