■みどりと花のセンターが過去に紙面などで公開したコラムを、出版元に許可を得て公開しています。


カラスは分かればこわくない!


著: 大熊 勳(みどりと花のセンター 副センター長)
掲載: 広報おびひろ 令和2年度10月号: カラスの生態を知ろう -カラスと上手に共存するために-


 秋から冬の夕方に、大群で移動するカラスを見て、威嚇するカラスを思い出し、不安に感じる人は多いと思います。カラスの生態を知ることで、トラブルに備えましょう。

カラスが集団になる理由
 先述のカラスの集団行動は、「就塒前集合(しゅうじぜんしゅうごう)」と呼ばれ、「夜、外的に襲われないように、集まって同じ塒(ねぐら)で寝よう」という趣旨の行動だと考えられています。
 カラスは意外にも臆病で人を恐れているため、集団で行動しますが、一般的にこの時期にカラスが人を襲うことはありません。

カラスが威嚇行動を取る繁殖期には注意が必要
 一般的にカラスの威嚇は4~7月ごろ、産卵から雛(ひな)が自力で逃げられるようになるまでの、およそ50~60日間に見られます。雛が十分育つと親の羽が生え替わり始めるので、カラスの羽が地面に落ちている頃には、危険がほぼ無くなったと判断できます。


抜けおちたカラスの羽
●子育てが進むと、親ガラスの羽が生え変わりはじめる
 → 羽が落ちているということは、雛が大きく育ったということ
 → この頃、親ガラスが子供を守るための威嚇が少なくなる


 なお、威嚇の多くは一部の神経質な親ガラスによるもので、すべての親ガラスが威嚇するわけではありません。また、攻撃性もカラスの種類によって違います。


ハシボソガラス
●人を襲うことは非常にまれ
●帯広市に多いカラス
●くちばしが細く、地面にいるときはてくてく歩きをする


ハシブトガラス
●人を襲うことはまれだが、ハシボソに比べるとやや多い
●帯広市に少ないカラス(札幌などの都市部には多い)
●くちばしが太く、地面にいるときはぴょんぴょん跳んで歩く

カラスと共存するために
 公園や道路でカラスに威嚇や攻撃をされた場合は、その場所を避けて通りましょう。どうしても通る場合は、傘をさして歩くなどの対応により、カラスと上手に共存しましょう。